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2002/06/30: 2002年 FIFA ワールドカップ日韓大会(結果)

2002年 FIFA ワールドカップ日韓大会(結果) → 予想へ

日本の活躍

H組グループリーグ

 H組 勝点得失点差
1 日本2107+3
2 ベルギー1205+1
3 ロシア10230
4 チュニジア0121-4

 予想外にも日本が好調に1位で突破。闘志でベルギーが2位で来るという感じ。この組の最強を噂されたロシアは残念な結果に終わった。チュニジアはもうひと踏ん張りが足りなかった。
 日本が予想外にも1位で来れたのは攻撃陣の奮起による。守備は3バックなためかいまいち安定感に欠けていたが、ゴールを重ねることができて補えたのは大きい。

決勝トーナメント

決勝トーナメント結果
[E組1位ドイツ   ]━━┓
              ┣━━┓
[B組2位パラグアイ ]──┘  
                 ┣━━┓
[G組1位メキシコ  ]──┐  │  
              ┣━━┛  
[D組2位アメリカ  ]━━┛     
                    ┣━━┓[2位 ドイツ]
[B組1位スペイン  ]━━┓     │  │
              ┣━━┓  │  │
[E組2位アイルランド]──┘  │  │  │
                 ┣━━┛  │
[D組1位韓国    ]━━┓       │
              ┣━━┛     │
[G組2位イタリア  ]──┘        │
                       ┣━━[優勝 ブラジル]
[A組1位デンマーク ]──┐        
              ┣━━┓     
[F組2位イングランド]━━┛  │     
                 ┣━━┓  
[C組1位ブラジル  ]━━┓      
              ┣━━┛    
[H組2位ベルギー  ]──┘       
                    ┣━━┛
[F組1位スウェーデン]──┐     │
              ┣━━┓  │
[A組2位セネガル  ]━━┛  │  │
                 ┣━━┛
[H組1位日本    ]──┐  
              ┣━━┛
[C組2位トルコ   ]━━┛


[3位決定戦]
  [4位 韓国    ]──┐
               ┣━━[3位 トルコ]
  [3位 トルコ   ]━━┛ 
結構波乱な結果。日本は惜しくも16強(T-T)

注目のF組

韓国の爆発

 とにかく韓国の躍進はすごい。グループリーグではポルトガルをレッドカードで破った。決勝トーナメントはまたもイタリアをレッドカードで破った。スペイン戦も審判に助けられて PK 戦まで持ち込み勝利。
 ただ、韓国は実力を出して勝った試合は少なかった。それはポーランド戦ぐらい。アメリカ戦で引き分けに終わってしまい、ポルトガル戦に負けるとグループリーグ敗退となるのに誰かしら危惧したのか、ここから審判のプレゼントが炸裂し始めた。
 それに、16強で終わった日本と違い、韓国の士気はすさまじかった。その士気からくる強い当たりと踏ん張りは強豪国でも侮りがたいものがあった。ふつうこういう場合はレッドなりで空回りするもんだけど(実際韓国以外の国はそれで憂き目にあったりした。ラフプレーには厳しく取っていく方向だったはずだけど、韓国に対しては逆だったし。)、今回は審判の優遇措置があったから、もう半端ものじゃない。この高揚はいつも日本に向けられるものではあったが、今回は幸運にも日本以外の他の国に向かってくれた。日本にもこういう発奮する力があればと思うが、その辺が島国で農耕民族で温厚な「和を以って貴しとなす」という18条の憲法が身に染み付いている日本には無理と言うところか。
 このように士気が高くて、サポーターの熱烈な支援もあって、審判の優遇措置も重なれば、負ける道理はない。2人削られたポルトガルには負けっこない。1人削られたイタリアも延長戦で勝利するのは造作もない。スペイン戦はいくつかゴールを回避してくれて引き分けのまま PK 戦まで持ち込めれば、後は勢いでどうにもなる。
 韓国の不運と言えば、ワールドカップでの快進撃が正当に評価されないであろう。また、今回のワールドカップは韓国のせいで失敗したと言われかねないことであろう。ま、そう思うのは人それぞれの問題でしかないが、今回のあからさまな状況には失望した。
 一応、韓国の試合はポルトガル戦とトルコ戦(の一部)を見た。イタリア戦はポルトガル戦の流れから行ってイタリアが負けるのが怖くて見れなかった。スペイン戦はもはや見る気なし。結果はどうであれ、開催国を同じくする韓国には正々堂々とした試合を見せて欲しかった。

強豪国の悲劇

 今回の大会は審判の判断が試合を決定づけた内容だった。強豪国はことごとくレッドカードなど審判の判定の憂き目で敗退していった。
 フランスは初戦でセネガルに敗れたが、そこから発奮しようとするものの、ウルグアイ戦で2枚のレッドカードで足元をすくわれてしまった。気負いがラフなプレーを生み、それをきちんと審判がレッド取ってしまったというところ。3戦目はもう空回りして、デンマークに敗れ、予選敗退。
 ポルトガルはアメリカにまさかの敗北を喫したが、ポーランドに圧勝。しかし、次の韓国戦で格下相手と思って強気に行ったのが裏目に出る。韓国の強いプレッシャーに、攻撃陣はなかなか韓国 DF を抜くことが出来ず、いらついたのかラフプレーで2人をレッドカードで欠く展開になる。その直後に失点。その後のポルトガルの攻撃は感動ものだった。終盤のセルジオ=コンセイソンのシュートがゴールポストの内側に当たるもゴールに入らなかったときに彼の涙を浮かべた姿など特に。所詮、韓国がホームアドバンテージを持っていることを気にしなかった結末でしかないんだろうが。
 イタリアはグループリーグは好調に行くかに見えたが、クロアチアに敗戦。ショートパスで巧みにボールをつなぐメキシコに翻弄された試合もあったが、なんとかグループリーグを突破する。しかし、韓国戦では PK での失点、その後同点にするも、レッドカードでトッティを退場させられて、その後、韓国と気力の戦いとなったが、ホームの韓国には気力では勝てるわけでもなく延長で敗退。
 アルゼンチンはイングランド戦でのマイケル=オーウェンを転ばせて微妙なところであったが PK を取られたことがグループリーグ敗退に繋がった。これも審判の判断の賜物だろう。
 スペインはグループリーグでは好調に1位で突破はした。決勝トーナメントはアイルランドを PK 戦で破るも、運悪く韓国に当たる。再三のゴールを審判に無効にされて、最後は PK 戦で無念の敗退。

審判問題

 ちまたでは誤審誤審と言われているようだけど、誤った審判などというものは存在しない。審判の判断は結局さいころみたいな確率論で結論付けられるものでしかない。そして、ホームアドバンテージなど、審判の優遇があるだけだ。そして、八百長も。
 開催国のホームアドバンテージを言うとき、審判の優遇とサポーターの応援から来る2つの要素があるが、今回の大会は、審判が下した判断が勝敗を決した場合が多かった。そして、その多くが韓国に関係するものである。
 審判の日本への優遇を考えると、ベルギー戦は不利、ロシア戦は有利、チュニジア戦は普通、トルコ戦は公平という状況であった。日本には大体において、サポーターの応援によるホームアドバンテージしかなかった気もする。
 もう一つの開催国である韓国に対する審判の優遇は激烈なものがあった。韓国は強い当たりをモットーにしているため、ファールを取られにくいという審判によるホームアドバンテージはかなり有利に働いていた。なんかこういうファールを取られないことがホームだからと許されてしまうと(さらに取られにくさが過度でもあった)、悪質なプレーに対しファールを厳しく取っていこうという方向と逆行していて、かなり問題なのではと思う。さらに、いくつかの失点を無効にして貰えているのである。日本は得点を無効にはされたけど、失点を無効にしてもらった場合はなかった(そう記憶している)のだけどね。本当に不公平である。
 次のドイツ大会は、韓国と同じく強い当たりをモットーとしているドイツが開催国だけに、審判の優遇措置の変化は興味のあるところである。前回フランス大会で4位だったオランダはヨーロッパ予選敗退だったけど、ドイツ大会では韓国が……(^^)

貧弱な4強の顔ぶれ

 波乱な結果が多かったため、貧弱な4強となってしまった。ブラジル、ドイツ、韓国、トルコ。ブラジルはいいにしても、あとの3つが(^^;;
 南米予選をひぃひぃ言いながら突破したブラジルがこの中での最有力優勝候補である。
 固い守りと強い当たりが持ち前の単調でつまらないサッカーをするドイツが2番手。カメルーン戦で両国合わせてイエローを10枚以上出したというそういう国。 
 開催国にとってはいいのかもしれないが、客観的な目から見ると場違いな韓国が3番手。
 グループリーグではブラジルに接戦を演じたトルコではあるが、それほどいいパフォーマンスを持っているわけでもない。前回フランス大会のクロアチアな感じであるが、前回大会のクロアチアのような面白さを感じさせているわけでもない。4番手というところだけど、セネガルを破った力は本物だろう。なんとなく、ドイツよりもトルコが2番手なのかもと思えなくもない。その場合は、ドイツが4番手かな。
 この中で、本来のパフォーマンスを発揮できたブラジルが優勝した。個人技ですべてを決定したわけであまりおもしろい結果とは言えなかった。優勝後、いつものにこやかな顔でキャプテンのカフーが台の上でワールドカップを掲げたシーンはとても印象に残っている。
 ドイツは、韓国がポルトガル、イタリア、スペインを撃破してくれたおかげで準優勝まで行けたと言えよう。ただ、そこまで行けた要素は守護神カーンの力以外あまりない。
 3位のトルコは欧州のビッククラブで活躍している選手が多いせいか老獪さがあった。開催国の日本、韓国を撃破したけど、強いというよりは巧みな試合運びの結果だった。ブラジルには負けたが、ドイツ相手だと勝っていたかもしれない。
 4位の韓国は、ドイツ戦、トルコ戦と審判の優遇がなくなってしまって、従来のワールドカップでのパフォーマンス通り、2戦とも負けを喫した。おそらく、ワールドカップの主人公は優勝したブラジルではなく韓国であろう。ポルトガル、イタリア、スペインという強豪国3つと戦って勝ったからである。しかし、それでワールドカップの面白みが半分以下に落ちてしまったのである。ポルトガル−ドイツ戦、ポルトガルorドイツ−イタリア戦、イタリア−スペイン戦などなど、今回の名勝負となるはずだった試合は韓国の快進撃で実現できなかった。結局、実現された強豪対決は、イングランド−アルゼンチン、イングランド−ブラジル、ドイツ−ブラジルのたった3つである。

独断と偏見の16強番付

  1. イタリア:韓国戦の悲劇がなければ優勝も。
  2. スペイン:良好なパフォーマンスを持つ。
  3. ブラジル:相手に恵まれて優勝できたものの。
  4. イングランド:運次第で優勝も。
  5. セネガル:個人技が爆発すれば。
  6. デンマーク:攻撃力には見ものがある。
  7. トルコ:老練な強国。
  8. ドイツ:強力と守護神の国。
  9. メキシコ:パス回しが利けば。
  10. 韓国:士気旺盛で結果を出せたが。
  11. アイルランド:強豪国には勝てないが強さはある。
  12. 日本:ホームなのに乗れず。
  13. スウェーデン:守りきれれば勝機が。
  14. ベルギー:調子次第。
  15. アメリカ:相性に依存。
  16. パラグアイ:守ると弱い。
 
 16強に来れなかったけど、他の強豪国は、フランスはデンマークの上、アルゼンチンはスペインの上、ポルトガルはセネガルの上あたりに来るんじゃないのかな。
 韓国の位置取りが難しい。15位くらいのような気も。

日韓共催

両国の意識
 私にとって韓国はふつうの隣国でしかなく、日韓共催と言っても今までどおりに普通にやっていけばいいんではと思っていた。しかし、ワールドカップ近くのテレビ番組では韓国びいきに見える内容が多かった。韓国は近くて遠い国と言われる。それは、地理的は近いけど疎遠な関係という意味ではなくて、地理的歴史的に近い存在にも関わらずふつうに隣国関係であり、期待される親密な関係がないという意味だと思う。それは、日本は島国で孤立し、鎖国時代も長く、独自の文化が形成されるに至り、日本と韓国は5世紀ぐらいまではかなり交流(人が混ざり合うという意味の)もあったものの、現在ではまったく違う特性を示す国となったからしようがないことである。
 両国の相互理解にしても、日本人よりも韓国人の方が相手により理解を深めて欲しいと思っている感じを新聞やらニュースやらで感じたが、ふつうに他国として理解するだけではだめなのか。韓国を理解しようと言ったって、何か特に理解するといいものがあるのかと思ってしまう。両国は中国起源の思想がベースとなっているし、欧州やらアフリカやらと違って、特に理解しようとしなくてもある程度理解ができているのではないか。それに、それほど韓国に世界的に強烈な印象を与える何か成果を残しているわけでもなく、理解しようがない。そして、理解することと言えば、韓国独自の民族文化という外面的な様式ぐらいであろう。それを理解するのは個人の自由意思の範疇に過ぎない。
 問題は逆なのである。韓国は歴史的背景もあって日本の文化を法律レベルで排除するような排他的な面があるわけで、むしろ、韓国が日本をよく理解していく必要がある気がする。とは言え、それは日本の文化を知るというレベルであるから、個人的にそうしたければするだけのことである。だが、韓国の法律レベルでの日本文化のシャットアウトは、個人的な趣向で日本の文化を摂取する、しないを決められなかったわけだから、日本の問題ではなく、あくまで、韓国側の問題なわけである。もっとよく理解し合おうという意味合いは、日本と韓国ではレベルが違うのである。日本は個人的趣向に基づいて知り合うという自然な話。一方の韓国では国レベルで制限を排除した上で、さらに、そういう制限の中で培われた歪んだ日本像を捨て、個人それぞれが自分の判断の目で日本の姿を見るということ。これは、むしろ、韓国自身が主体的になって知ろうと努力するべき点が多いということで、何も、日本側がよりよく理解し合おうと努力する筋合いではないのである。
 だが、韓国人は日本人にもっと多く韓国を知って欲しいと言う。これは今までの盲目的な日本否定の姿勢を変える必要を韓国人自身は考えているのだが、その言わば、自己否定を、彼らの民族的思考からはできない結果、その矛盾の中、逆のことを何気なく主張しているのではないか。そう私は思うが、日韓共催という機会で韓国人にそういうことを考えさせるきっかけになれれば、日本がそのための捨石的な状況になっても、結果、韓国人がより次のステップに進めるのであればいいであろうと、謙虚に受け止められるだけの資質を日本人は持っていると思う。
利点
 日韓共催は、結局、韓国に多くの利益をもたらしたんだなと考えられずにはいられない。日本は、とりあえず、ワールドカップを開催できたという点しかない。それも、FIFA その他の商業主義のため、ワールドカップ開催自体から得られるものは少なかった。16強を勝ち取ったものの、日本で開催したからという要素はあまり大きくない気がする。ワールドユースで準優勝、そして、シドニー五輪で活躍したメンバー中心の日本代表だったから、ワールドカップで不甲斐ない活躍しかできない実力であるわけではないし。
 韓国は、これを機会に日本に対する拒絶から生まれる多くの損失を今後続ける理由が少なくなったわけだし、ワールドカップ常連国ながら1勝もできなかった状況を打破したし、日本以上の結果を残せたから自らの自尊心を高めることもできたし、日本からの経済援助やら多くのものを得た。自分自身の自尊心を満足させるよりも、もう少し日本への配慮を見せ友好関係を示して欲しいところではあったが、その民族的意識から無理なんだろう。そこが、日本にとって利点をあまり得られなかったところ、つまり、今回の日韓共催の失敗点であろう。
今後
今回の経験を元に、今後、日韓共催というおかしなことを再びしでかさないよう心から望むものである。これは韓国を嫌いだからというそういう狭い考えからではなくて、国としてはワールドカップなどの催し物をするのに1国単独で開催するのは必然だからである。それが独立と主権というものである。相互理解のためというのは、催し物とは別の次元の話であるし、共催する根拠はなんらないのである。あるとすれば、単独には開催できない国が開催するために相乗りを図るというそれだけしかなく、そこに多くの利害が生じれば、日本のような比較的温厚な国柄が相手にいない場合は、失敗に繋がることが多いであろう。

最後に

 面白くないワールドカップであった。決勝トーナメントでの強豪同士の対決がもっと欲しかった。選手ではなく審判の判断が多くを決したという点もある。サッカーの試合を見ているときレッドカードが出ると自分の応援しているチームが有利になっても面白くない。試合の結果は両チームのパフォーマンスの違いではなく数の差で決してしまうからね。そして、そのレッドカードのために多くの強豪対決が見られなかったことはとても残念なことではあった。
 日本は16強まで言ったけど、強豪国と当たって、勝てとは言わないがいいパフォーマンスをした試合をして欲しかったが、そういうのがなかったのが心残りである。

2002/06/30(日)に記す。