昨今、憲法改正の論議に伴い、天皇制をどうするかについての議論を新聞なりでよく目にする。でも、天皇を元首に戻すなど、廃止するなど、女性天皇はどうするかなどどうでもいいことばかり議論されているような気もする。むしろ、天皇はどういうもので、どうあるべきかというのを正しく議論できていけば、自然と解決するような気がする。
歴史的には、天皇家は政治の世界から離れていったことによって命脈を保ってきたと思う。政治から距離を置き、時の権力者に利用されることで、逆に権威を保ってきた。江戸時代で最下辺まで落ちるけど、明治になって一旦元首に担ぎ出されるが、もはや政治上は飾りでしかない。現在も憲法によって、半ば奴隷的な名家として遇されている。
天皇自体に神聖的なものがなくなってしまった現在において、これ以上天皇家を縛り付ける必要はないんではないかと思う。「必要」というと「何のために」必要かということが重要だが、その「何のために」についてはここでは特に触れない。日本という国家としては、名家としての最低限の経済的な保証をした上で、天皇家に自由を与えた方がいいんではなかろうかと思うのである。そうすることで、天皇家に所属する人たちにとっては大いに利益になるんではなかろうか。そして、天皇家が所与としての権威から脱却し、自分の力による経済的、政治的な成功を見つけることこそが、天皇家そのものの実力なり、その存在意義なりをはっきりさせるいい手段になるんではないかなと思う。
天皇を元首する意味はよく分からない。現在の憲法では、国民の統合の象徴ではあるがこれもよく分からない。要は力はないけど、概念的に日本を代表する存在なんだろうか。ただでさえ意味不明な存在を元首としてしまうことは、逆に、「日本の元首」は何?という問題を引き起こす。元首にするなら、ある程度の権力を与えるべきなんだろうが、そういうことはありえない、天皇を元首とすることが憲法自体に矛盾を持ち込むことになる。
天皇制の廃止については、天皇家自体は廃止するしないに関わらず存在するだろうし、その権威性も廃止するしないに関わらず存在する。そこで、廃止するということは天皇家を解体することに等しい。これはある家族を解体することであって、強引的なことである。ま、天皇制の廃止は、天皇を憲法からの記述から消して、形式的な政治的行事との関わりを一切消すだけなんだろう。これは、天皇家を自由にするという意味においてはいいことだと思う。
女性天皇を認めるかの問題。天皇家は男系だから、女系の系統を挟むのは天皇家自体への冒涜に感じる。一時的な女性天皇は過去存在していたけど、女系を認める天皇の系統へと変更しようとする昨今の動きは強引だ。法律により皇族と認められた天皇の血筋だけから天皇を探すというのは、天皇家の管理上の問題に過ぎず、その管理上の問題から天皇家の系統に変更を与えるのは問題があると思う。どうしても男子が生まれなかったら、皇族の範囲に入ってないけど、血筋が男系の男子を探して天皇にするのがいいと思う。実際、男子の後継を生めなかった現在の皇族は天皇家としては失格に値する。どうして、男子が生まれなかったのか、どこかに理由はあるんだろうが、名家を継ぐ者は世継ぎを生むという最低限の義務を果たさなければならない。ま、法律に男子を産まなかった宮家は廃家するとか増やせばいいかも。
自分が思うに、天皇は憲法から記述を削除し、天皇及びその一族は法律でその地位というか経済的な基盤を保証する。天皇家にある程度自由を与えながらも、天皇家への保証を与える条件を規定することで、天皇家がその天皇家としてのあるべき性質から外れないよう制約するようにする。というのがいいんではないのかな。
天皇と神道の関係はよく分からん。天皇の権威を高めるための明治期の工作が・・・・・・