機巧奇傳ヒヲウ戦記を見た。全26話のアニメだが内容的にかなり微妙だな。カラクリ作りを生業とする村が突然襲われ、子供たちだけ大きな山車型のカラクリとともに逃げ出して冒険をするという話。幕末の各事変に関わりながら、子供たちはさまざまな問題に直面し、自分なりに答えを見つけ、進んで行く。あの幕末の時代、大人でさえ時代の流れをうまく捉えることができず、うまく生きていくことができなかったわけで、その中を、子供としての正直な観点から自分たちのスタンスを取り、見誤らず進んでいった様はある意味感動するのだが、「なんか、ねぇ」と言葉にならないある種の不満があるんだな。
坂本竜馬を中心に幕末の有名な人物が多く登場し、物語の裏で流れる時代の変遷をアニメの中で影ながら物語っているんだけど、子供向けのアニメとしては難解過ぎるんだよ。子供たちのカラクリ「炎(ほむら)」に関わるメインストーリーもちょっと説明不足な部分があるんだが、史実絡みに原因するところも多々ある。幕末自体、現在においてもいくつかの説が語られ、難解な様相を見せていて、私を含めて大人自体がきちんと把握してないというか、一つこれといった正説を持っていないのに、アニメの中で幕末の各事件を虚構と事実(史実)の境界線が見えない状況で描いているんで、すごく難しい。
子供たちが取る道を誤らないように、坂本竜馬がよく舵を取っているところはなるほどだなとは思う。でも、坂本が取るべき道を決定しているのではなく、いくつかの選択肢を分かり易く説明しているのがいいんだな。決定は完全に子供たちがやっている。事件事件で多くの史実で有名な人物が自分の主張をしながら、その方向に子供たちを引っ張ろうとしていくのだが、それを特に強要するわけでもなく、率直に道を選択し続ける子供たちをある意味、羨ましそうに、ある種、淋しそうな目つきで見守っているだけであるのだが、そういう演出は良いなぁと思うんである。一方、史実以外の人物は積極的に子供たちに関与していくが。
ヒヲウは内容は好きではないけど、物語の作りはちょっと感嘆する微妙なアニメであった。見るのは苦痛を伴うんで、再び見ようとは思わない。