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2003/05/09: 経済考その7

 今の経済がどういう状況であって、どうすればいいのかというのをきちんと答えてくれるオフィシャルな解答はほとんどないのが悲しい。オフィシャルというのは新聞なり雑誌なり政府、行政機関なりから出ているもの。ただ、草の根レベルから出ているアイデアだとまともなのを見かけたりもするので、少しは期待していいのかなとか思う。でも、草の根のアイデアがオフィシャルに移るまで待つのはしんどい。

 日本での株価低下の原因の本流は銀行からの株の流出みたい。自己資本比率による規制によって株を保持できない銀行が資金をがっぽがっぽ日銀から貰って株を放出していて、自己資本比率の問題をクリアするまで株価低下は終わらないようだ。株を放出して株価下がってさらに株を放出する必要が出てというスパイラルな展開は最悪だ。

 世界的な株価低下の原因は情報化と供給過剰だと思っているが、日本では銀行の行動が大きいので深刻な状況を作っているらしい。だから、株放出のための銀行を支援している金融政策なんかは本当に悪に感じる。これも銀行を倒産させないための措置なんだろうが、銀行なんて倒産していいから新しい銀行作ってそこに預金者の口座移してという流れが必要なんじゃないのかなと思う。ま、既成の体制を維持しようと踏ん張っているお偉さんが日本経済を支配しているから無理か。

 銀行から放出された株を国民が引き受けよと証券会社や金融機関や政府の人は言っている。要は、株を放出するにしても株価が下がった状況だと銀行は損するから、その損を国民が引き受けよと言っているだけ。国民が引き受けるにしても、銀行の放出量は並大抵の量じゃないから株価の低下の流れを食い止めるのは厳しい。それは引き受けたとしても株価は低下して国民が損するだけということ。銀行は株を放出する方針は変わらないが、国民が動けば多少損する量を減らせる。取引量が増えれば証券会社は株価が下がりつづけても得をする。国民全体が損失を請け負うことで損失というものが帳面上ではっきり出ないということで、責任問題をうやむやにできて、政府は安心する。だから、株を国民が引き受けることを声高に言っている人間見るとまことに腹が立つ。

 インフレターゲットの必要性が叫ばれているが私は懐疑的。インフレターゲットは日銀の資金力を使ってインフレを作り出すことみたいだが、インフレを作り出す過程に問題がある。ま、ハイパーインフレの恐怖からかインフレターゲットはなかなか導入されない状況だけど、私はハイパーインフレにはならないんじゃないのかなと思っている。結局、現在、インフレターゲットでやろうとしていることは株価を上げて既存の銀行を救おうとしているだけだし、それでは日本の経済にいいことはない。今考えられているインフレターゲットのやり方を変えればとは思うが、お偉さんの論理では無理な話だろう。

 結局、日本の金融政策は銀行をいかに救うかに固執し過ぎている。銀行は格安の金利で資金調達できるのに、国民及び企業が金を借りる段になると高い金利が必要になる。そして、こういう矛盾に満ちた金利構造の上に、銀行の融資基準はかなり厳しい。まったく、阿呆なことである。そして、国民及び企業の多くは高い金利が必要な消費者金融を利用する破目になったりもする。テレビで消費者金融の CM が華やかだがそういう CM を見るたびに日本の金融構造は腐っていると感じぜずにはいられない。

 すべての元凶は自己資本比率の規制なのかもしれない。確かに自己資本比率を高めて銀行経営の安全性を高めていく必要があるだろうけど、それはバブル期に経済と景気の本質を理解する一方、保守的な論理で経済のバブル性を否定し過ぎという気もする。そこには新しい経済理論の確立が必要な気もするし、それができていないところが問題なのであろう。って、新しい経済理論って何かは知らん。

 ま、現状実現可能と考えられる金融政策の中で一番効果ありそうなのが、インフレターゲットなんだろうが、何かその辺に何か悲しいものを感じるのだがどうなんだろうね。