今の経済がどういう状況であって、それならどうすればいいんだと言うのはすごく楽なのである。しかし、どうすればいいということが革命的な変化を要求するので、多くの人は対応できない。少なくとも、政治人、経済人など既成の常識的、理論的な知識を持っている人にとっては苦痛であろう。苦痛というのは、自分自身が今まで信じてきた、それを糧に行動してきたものごとを捨てないといけないからである。さらに、その革命的な変化に万人を従わせること、納得させることも難しい。
現在の状況を簡単に述べよう。生産過剰である。それは技術革新、効率化によってもたらされた。目的意識が欠乏している。戦後復興という目的があったが、いつの間にかクリアしてしまった。先進国を追い越せと頑張っていたが、追い越してしまった。経済を統括する収支のバランスの原理が崩壊した。情報化社会によって経済の原理が判明してしまった。昔はがむしゃらに働けば、より知的に行動すれば経済において成功すると思っていたが、その根拠が幻想でしかない株式に依存していたということを知ってしまった。株式が本質的に価値がないことを知ってしまったがゆえに、経済を動機付けさせる何かがなくなってしまった。
現在の状況が把握できれば後は簡単である。生産過剰なら大量消費をすればいい。大量消費によって自然破壊や資源枯渇を生むというのなら、それを生まない大量消費をすればいい。その具体的な例の一つとしては、宇宙進出によっていくらでも壊していい宇宙環境を開拓する。無限になる宇宙資源を利用する。別な例としては、電子データというコンパクトにすることができる媒体に生産過剰・大量消費の場を移す。現実世界での生産・消費は物質的な必要性の範囲で抑える。人が生き長らえるだけの食料を生産し、普通に生活できるだけの資材を用意する。そして、人の限りない欲求の場を電子情報の場へ持っていき、そこでの活動だけで満足いくようにする。他の例は今のところ思いつかない。
目的意識は自分で作る他ない。それは各人が自由に自分のやりたいことをするのである。宇宙進出、電子情報の世界の範疇でしかだめだが。自分のやりたいことを自由にできる状況を作り出すには、今まで最低限行わなければなかった、制約を取り払わなければならない。人は生きるために働いていたわけだけど、これからは自分のやりたいことのために動くだけである。衣食住は何もしないでもある程度の水準まで用意されなければならない。そして、目的意識のある人だけが、用意された衣食住の環境以上の繁栄を享受できるようにするのである。衣食住が保証されないといけないというのは、自分のやりたいことが必ずしも生産的であるかとか、社会に必要なものを作っているのかというのが分からないからである。中には生産的であったり、社会に必要なものを作ることが自分がやりたいことになっているかもしれないがそれは必ずしも言えない。衣食住の最低限の保証が外部からなされることにより人の可能性が大きく切り開くのだと思う。ただ、この保証は生産過剰であることが実現されていないと難しい。しかし、今は生産過剰なのである。
衣食住の最低限の保証は資本主義経済を破壊するに他ならない。社会主義やら共産主義と同じように見えるが、かつてのそれらは働いたものが自分に帰ってこなかったが、これからのは動いた分だけ自分に帰ってくるのである。ま、これを新しい社会主義やら共産主義やらとは呼ぶつもりはない。
自分のやりたいことをするというのは、電子情報の世界の例に限定されるかもしれない。宇宙進出を選んだ場合、それ程余裕がなくなるからだ。宇宙という世界はシビアである。そこには無尽蔵の資源やら可能性があるが、常に死の危険性を伴う。それは、各人が統率されて行動していくことを要求もするだろう。そして、宇宙への進出は最初の時期は大きな一つの目標の元行動する必要がある。それ程宇宙進出は難しいと思う。
というのが、革命的変化の一例だけど、やっぱ無理だよね。絶対、誰も不可能だと思うよ。知識を持っている人程受け入れがたいことだろう。それに知識を持っているある種エリート層はそれほど今の状況の厳しさを体感していないだろうから、変化を受け入れるメリットさえないかもしれない。ま、そこは、エリートじゃない底辺層の力が必要というところなのであろう。
で、幻想的なことを考えてもみたが、大体の方向性としてはこれしかないかなと思う。でも、数百年の尺度でのことだけど。次に今現在どうすればいいのかという現実的な解決法を書いてみようかな。